南部鉄器をご存知でしょうか?
南部鉄器とは、旧南部藩主の城下町岩手県盛岡市・奥州市を中心とした地域で生産される「鋳造の鉄器」です。
鉄器でできた鉄瓶、鍋、急須などが使われています。
その歴史はとても古くて、約400年も前から使われていたようです。
熟練職人の手による80余の行程を経て製造される実用性と芸術性豊かな南部鉄器は現在では「伝統工芸品」として、伝産法の指定を受けています。
南部鉄瓶で沸かすお湯は鉄分補給に効果大
お茶を飲むためのお湯を沸かす際にやかんを使っている方はどのくらいいるのでしょうか?
我が家は電子ケトルを使用しています。
朝はバタバタしているし、小さい子供がいるとどうしてもコンロのところにずっとはいられないもの。
ただ私も南部鉄瓶を持っていて、休みの日や来客があるときは、南部鉄瓶でお湯を沸かすようにしています。
南部鉄瓶は妊娠初期に母がプレゼントしてくれました。
私はつわりがひどくて、立ち仕事なのに10分も立っていられないほど貧血がひどくなってしまいました。
その時に「南部鉄器は貧血にいいから」と母が買ってくれて、ずっと使っています。
私の実家ではお湯を沸かすときは南部鉄瓶を使います。
母が買ってきた理由も「鉄分が取れるから」「お湯がおいしいくなるから」という理由でした。
実際に南部鉄瓶で沸かすお湯には「鉄分が取れる」ことが岩手大学の研究結果が出ているようです。
鉄分の補給に効果のある南部鉄瓶や茶の湯釜に代表される南部鉄器の溶出鉄は、吸収されやすい2価鉄が多いことがあきらかになり、南部鉄器の利用は鉄分の供給効果に有効であることが認められております。
鉄器から溶出する鉄の大部分は「二価鉄」です。腸で吸収されるのはこの二価鉄だけです。という事で非常に吸収されやすい鉄分が摂取できます。
また、アルツハイマー認知症も鉄分不足が関係していると言われているようです。
南部鉄瓶で沸かすお湯は甘みがある
南部鉄瓶のお湯は本当に美味しいです。
マイルドで柔らかく、甘みがあります。
白湯で飲むと一目瞭然。
どうやら他の産地の鉄器には無い、特殊な工程のために、鉄臭さがお湯に出ないといわれているそうです。
また鉄瓶は塩素を除去してくれるため、美味しくなるとか。
最近は欧米においても鉄瓶で沸かしたお湯の味が評価されているようです。
ただ南部鉄瓶を買ってすぐ、その白湯が美味しいわけではありません。
南部鉄瓶は沸かせば沸かすほど、お湯がマイルドになって美味しくなるのです。
購入したらまず最初に慣らしをする
鉄瓶と上手に付き合って行くためには、内部の皮膜を傷つけないことと湯あか(白っぽいもの)をつけることです。
そのため初めて使う前に何度か水を沸騰させて捨て、という作業を繰り返し行います。
1.何度か水で鉄瓶内部をすすぐ(このとき内部は触らない)
2.弱火で沸騰させる
3.お湯を捨て、2〜3回繰り返し、中の水が濁らなくなったら完了
私も最初は「面倒だな…」と思っていましたが、慣らしは最初だけでOKです。
湯あかをつけることで味がとっても美味しくなるのです。
お手入れ方法は?
鉄なので水に濡れたままだと錆びてしまいます。
水気を飛ばしてからしまう必要があります。
私はいつもお湯を沸かしたらポットに移し、鉄瓶は蓋を開けたままにしておきます。
そうするとお湯を沸かした熱で水分が蒸発するので簡単に乾かすことができます。
錆びてしまったら
内部に発生する赤褐色の斑点やくすんだ模様は、錆ではなく使い込んだ証です。
間違ってもたわしでこすってはいけないようです!
しばらくすると赤っぽい色から全体が白っぽくなってくるようで、ますます美味しくなるそうです。
沸かしたお湯が澄んでいれば、そのまま使っていて問題はないです。
金額が高い!でも…
南部鉄瓶は1〜2万円前後、小ぶりのものでも8000円くらいします。
確かにケトル等に比べたらお値段は高めです。私も最初はその金額に驚いて手が出ませんでした。
しかし使い方を間違わなければ、孫の代までも使えると言われています。
また鉄瓶は火の通りもよくお湯が早く沸くのでガス代もお得です。
海外でも注目されている
何年か前から、海外の方から南部鉄瓶や急須が人気のようです。
理由は「味の美味しさ」「スタイリッシュなデザイン」。
中でも普段からお茶を飲む文化のある中国にはかなり人気があるみたいです。
またヨーロッパに向けてカラフルな鉄瓶や急須もあるようです。
来客があったときにテーブルに南部鉄瓶を出すだけでもおしゃれだし、会話の話題にもなりますよね。
海外の方へのお土産にもオススメの南部鉄瓶です。
おわりに
日本の伝統工芸品の南部鉄瓶。
使い方次第では100年も持つと言われています。
重さはありますが、お手入れも難しくないし、何より鉄分が取れて水道水が美味しく飲めるとはとても優秀なアイテムではないでしょうか。